カシリビマブ・イムデビマブとは【casirivimab plus imdevimab】
カシリビマブ(casirivimab)とイムデビマブ(imdevimab)は、別名REGN-COV2、モノクローナル抗体(mAB)で、2つ合わせて治療に使用されます。ここでは、それぞれの化学的構造、化学式、推定構造や性質について、教育の観点より簡易的に取り上げます。
カシリビマブとは
カシリビマブは、化学式C6454H9976N1704O2024S44、分子量145233.33、H鎖とL鎖の推定構造(イメージ)は以下のようなものです。
出典を元にカシリビマブ(casirivimab)のL鎖を視覚化するとこのような雰囲気です。
またH鎖はこのような雰囲気と推測できます。
H鎖とL鎖が結合している場合はこのような状態になり得ると考えられます。
このH鎖とL鎖がくっついた状態が抗体としての実際の構造で、想像の範囲、推定の範囲ですが、カシリビマブ(casirivimab)は上記のような構造となると考えられます。
アミノ酸配列とジスルフィド結合の位置は次の通りです。
(Heavy chain)
QVQLVESGGG LVKPGGSLRL SCAASGFTFS DYYMSWIRQA PGKGLEWVSY ITYSGSTIYY
ADSVKGRFTI SRDNAKSSLY LQMNSLRAED TAVYYCARDR GTTMVPFDYW GQGTLVTVSS
ASTKGPSVFP LAPSSKSTSG GTAALGCLVK DYFPEPVTVS WNSGALTSGV HTFPAVLQSS
GLYSLSSVVT VPSSSLGTQT YICNVNHKPS NTKVDKKVEP KSCDKTHTCP PCPAPELLGG
PSVFLFPPKP KDTLMISRTP EVTCVVVDVS HEDPEVKFNW YVDGVEVHNA KTKPREEQYN
STYRVVSVLT VLHQDWLNGK EYKCKVSNKA LPAPIEKTIS KAKGQPREPQ VYTLPPSRDE
LTKNQVSLTC LVKGFYPSDI AVEWESNGQP ENNYKTTPPV LDSDGSFFLY SKLTVDKSRW
QQGNVFSCSV MHEALHNHYT QKSLSLSPGK
(Light chain)
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCQASQDIT NYLNWYQQKP GKAPKLLIYA ASNLETGVPS
RFSGSGSGTD FTFTISGLQP EDIATYYCQQ YDNLPLTFGG GTKVEIKRTV AAPSVFIFPP
SDEQLKSGTA SVVCLLNNFY PREAKVQWKV DNALQSGNSQ ESVTEQDSKD STYSLSSTLT
LSKADYEKHK VYACEVTHQG LSSPVTKSFN RGEC
(Disulfide bridge: H22-H96, H147-H203, H223-L214, H229-H’229, H232-H’232, H264-H324, H370-H428, H’22-H’96, H’147-H’203, H’223-L’214, H’264-H’324, H’370-H’428, L23-L88, L134-L194, L’23-L’88, L’134-L’194)
イムデビマブ(imdevimab)とは
イムデビマブ(imdevimab)は、化学式C6396H9882N1694O2018S42、分子量144141.77、H鎖、L鎖は次のような構造をしていると考えられます。
イムデビマブ(imdevimab)のH鎖はこのような雰囲気だと推定できます。H264-H324-H370-H428がジスルフィド結合をしているということなので、実際は3次元的に折りたたまって、もっと複雑なはずですが、ここでは簡易的、かつ、雑に表現します。
イムデビマブ(imdevimab)のL鎖は、このような部位でジスルフィド結合をしており、構造は上記画像のようだと推定できます。
H鎖2つ、L鎖2つは以下
Disulfide bridge: H22-H96, H147-H203, H223-L215, H229-H’229, H264-H324-H370-H428, H’22-H’96, H’147-H’203, H’223-L’215, H’264-H’324, H’370-H’428, L22-L90, L138-L197, L’22-L’90, L’138-L’197
この部分でジスルフィド結合をしており、カシリビマブのように複雑に結合し合います。
これらのモノクローナル抗体と、スパイクタンパク質が関わり合って治療薬として機能します。
出典
Anti-SARS-CoV-2 REGN-COV2
https://go.drugbank.com/drugs/DB15691
KEGG|カシリビマブ
https://www.kegg.jp/entry/dr_ja:D11938
KEGG|イムデビマブ
https://www.kegg.jp/entry/dr_ja:D11939
新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬「カシリビマブ及びイムデビマブ」の医療機関への配分について