ベリリウムとは

2021年9月26日

ベリリウム(Be|Beryllium)は原子番号4、常温25℃で灰白色固体のアルカリ土類金属(含まない場合もあり)で、アクアマリンやエメラルドなどの緑柱石にも含まれ、炎色反応は無色、存在は非常に希少な物質ですが、航空宇宙産業の構造材料に使用されることが多いです。

 

元素「ベリリウム」の詳細

ベリリウム

元素の詳細な情報、数値は次の表の通りです。

元素名

(英語)

ベリリウム

(Beryllium)

原子番号・原子量原子番号4・原子量9.012
色・相灰白色固体

融点

沸点

1287℃

2469℃

電気陰性度1.57
イオン化エネルギー899.5 kJ/mol
同位体6Be、7Be、8Be、9Be(安定)、10Be、13Be他
イオン※(Be2+

※理論上はベリリウムイオンはBe2+ですが、水素や酸素のような感覚で存在していないため注意。

 

ベリリウムの物理的性質

ベリリウムは希少な金属ですが、強い曲げ強さ、熱的安定性、熱伝導率の高さ、比較的低密度、X線透過性などの要素から合金に使用されることが多いです。

 

こうした性質から、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のベリリウムミラー「JAMES WEBB SPACE TELESCOPE|GODDARD SPACE FLIGHT CENTER」としても活用されています。

2021年12月18日の軌道打ち上げ、この先10年間、深宇宙天文台として観測を担います。

出典1:https://www.jwst.nasa.gov/

出典2:https://www.nasa.gov/press-release/nasa-readies-james-webb-space-telescope-for-december-launch/

 

その他、無線通信、高性能レーダー、高音域スピーカー、宝石としてアレキサンドライト、アクアマリン、エメラルドなど用途は非常に広範囲に及びます。人体によっては有毒(吸入毒性・腐食性、発がん性|1日0.002mg/kgが限度)です。

 

ベリリウムの化学的性質

希少さ故にベリリウム単体を作り出すのは難しく、基本的には化合物として存在、活用されます。同位体は多数存在しますが、13Beは半減期が2.7×10−21秒と非常に短く、安定している同位体は9Beのみです。

【酸化ベリリウムの製造工程】

緑柱石 + KOH/Na2CO3/KNO3(溶融) + 80%H2SO4 → 濾液 + NaOH(中和)

濾液 + NaOH(中和) + Na2CO3 + NH4NO2 → 沈殿物 + HNO3(溶解&再沈殿)

※塩酸HClとかエーテル処理とかバッファ液とか加熱とかして濾液Xを取る

(難易度高い&教育を逸脱するので割愛)

濾液X + NH4OH → Be(OH)2 →(灼熱) BeO(酸化ベリリウム)

※この工程を簡単に解説すると、酸塩基ごっちゃの溶液で溶かし込みつつ、中和しつつ、ベリリウムを含んでいる部分(濾液or沈殿物)をさらにいろんな処理を重ねて水酸化ベリリウムを得て、力技で酸化ベリリウムにしている感じです。

 

出典・参考

ベリリウムの化学

https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikatsueisei1957/10/4/10_4_118/_pdf

 

周期表

Posted by 化学担当