ホウ素とは

2021年9月16日2021年9月26日

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ホウ素（B｜Boron）は原子番号5、常温25℃で黒色の固体で、存在量が少なく、半導体、殺虫剤（ホウ酸団子）として利用されます。同位体14種と同素体7種と数が多く、存在しているホウ素の80%は¹¹Bです。あまり注目を浴びない元素ですがGをやっつけてくれる人類の味方です。

1. 元素「ホウ素」の詳細
2. ホウ素の物理的性質
3. ホウ素の化学的性質
- 3.1. ホウ酸の毒性の作用機序
4. 出典・参考

元素「ホウ素」の詳細

元素の詳細な情報、数値は次の表の通りです。

元素名（英語）	ホウ素（Boron）
原子番号・原子量	原子番号5・原子量10.811
色・相	黒色固体
融点沸点	2180℃ 3650℃
電気陰性度	2.04
イオン化エネルギー	第1： 800.6 kJ/mol 第2： 2427.1 kJ/mol 第3： 3659.7 kJ/mol
同位体	⁶B～¹⁹B
イオン	形式的にB³⁺

ホウ素の物理的性質

中には、ホウ素を気体だと思っている人もいるようですが、固体です。学校ではほとんど学ばず通過していくのは、釉薬やガラスに使用される事が多いくらいにしか用途がないためです。他には殺虫剤向けのホウ酸団子などで少し触れるくらいの物質です。

融点も沸点も高く、硬いですが脆い物質で、安定した共有結合が可能ですが、半金属で半導体として活用されることもあります。

宇宙全体ではホウ素が生成されるよりも先にヘリウムまで崩壊してしまうため、ホウ素の存在量が少なくなっていると考えられています。地球上でも何かしらの化合物の形で存在しているのみです。

ホウ素の化学的性質

ホウ素同位体は¹¹Bが約80%、¹⁰Bが約20%で、同位体は14種類あります。質量数が11以上の同位体（¹²B～¹⁹B）は炭素になりやすく、質量数の低い同位体（⁶B～⁹B）はベリリウムを経由してヘリウムまで崩壊します。同素体は7種類存在します。

【三酸化二ホウ素の合成】

4B　＋　O₂　→　2B₂O₃

【ホウ酸の合成】

B₂O₃　＋　H₂O　→　2H₃BO₃

【ホウ酸の合成（硫酸使用）】

Na₂B₄O₇・10H₂O　＋　H₂SO₄　→　4H₃BO₃　＋　Na₂SO₄　＋　5H₂O

ホウ酸は無色結晶でB(OH)₃とも表現されます。ホウ酸は水に溶けると以下のような状態となり、ルイス酸（電子対を受け取る物質をルイス酸という）として形式的に酸性の状態になります。

H₃BO₃　＋　H₂O　→　H⁺　＋　B(OH)₄^ｰ

詳細は酸塩基のページにて解説を追加します。（pKa=8.92〜9.24）

ホウ酸の毒性の作用機序

ホウ酸（Boric acid）は腎臓のない昆虫には毒として働きます。少量であれば哺乳類はホウ酸を尿として一部排泄（毒性はある）できてしまいます。毒として働く理由は既に記載した通り

H₃BO₃　＋　H₂O　→　H⁺　＋　B(OH)₄^ｰ

この反応による「脱水・分解・合成」が要因となります。ホウ酸は脱水を加速、水素イオンとB(OH)₄^ｰが他の物質と反応して破壊しつつ、破壊後に反応して安定化するという内部破壊を引き起こします。

脂質、タンパク質、ATP、NADの枯渇を起こし、細胞内遊離カルシウムや遷移金属イオン濃度の増加などから体内の正常な代謝が阻害されます。ホウ酸、または、ホウ素があるとプロテオグリカン、コラーゲン、タンパク質の合成量が減少します。細胞膜の機能、安定性、ホルモン作用、膜貫通シグナル伝達、調節性陽イオン/陰イオンの膜貫通運動への影響があると考えられており、重要な酵素反応を競合的に阻害する可能性があるとも考えられています。生命体の生命維持に必要な反応の邪魔をするという恐ろしい毒性を示します。