炭素とは
炭素(C|Carbon)は原子番号6、常温25℃で黒色(または透明)固体で、地球上の有機化合物、生命体など多くの場所で見られる元素です。同位体も同素体も複数あり、インク、トナー、吸着剤、黒鉛、塗料などに使われ、人体を構成する元素の18%が炭素です。
元素「炭素」の詳細
元素の詳細な情報、数値は次の表の通りです。
元素名 (英語) | 炭素 (Carbon) |
原子番号・原子量 | 原子番号6・原子量12.011 |
色・相 | 黒色固体 |
昇華点 三重点 | 3642℃ 4327℃ |
電気陰性度 | 2.55 |
イオン化エネルギー | 第1: 1086.5 kJ/mol 第2: 2352.6 kJ/mol 第3: 4620.5 kJ/mol |
同位体 | 8C~22C |
イオン | ー |
炭素の物理的性質
同位体は8C~22C、同素体は
- ダイヤモンド
- 黒鉛
- グラファイト
- フラーレン
- ロンズデーライト
- カーボンナノチューブ
など複数あり、透明で強固なダイヤモンドは特に有名で価値も高いが、最近は人工的に合成することもできるため実は価値は微妙です。年間1億カラット以上の人工ダイヤモンドが生成されています。ダイヤモンドのモース硬度は10で、リチウムの10倍以上も硬いです。
毒性は基本的にはなく、人体にも多く含まれていますが、二酸化炭素など化合物になった状態でどうかという話になると議論の意味がなくなります。爆発物のニトログリセリンやトリニトロトルエンにも炭素が含まれるので、炭素単体では毒性はないですが、化合物としてはありふれていて教育的な扱いが難しいです。
一部のハエにとって、また、菌類にとって炭素の微粒子は有毒です。
炭素の化学的性質
炭素は価電子は4つ、反応に使える手が4つある状態で、共有結合を4組持てる物質です。念の為、ドライアイスは二酸化炭素CO2を冷却したもので、炭素C単体ではありません。
【炭素の燃焼】
C + O2 → CO2
【二酸化炭素の還元】一酸化炭素:CO
CO2 + C → 2CO
【メタンCH4の燃焼】
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
【メタノールの燃焼】
2CH3OH + 3O2 → 2CO2 + 4H2O
【エタノールの燃焼】
C2H5OH + 3O2 → 2CO2 + 3H2O
【ブタンC4H10の燃焼】※ライターの中身
2C4H10 + 13O2 → 8CO2 + 10H2O
【石灰水Ca(OH)2の白濁】
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
CaCO3 + H2O + CO2 → Ca(HCO3)2
【重曹|炭酸水素ナトリウムNaHCO3の熱分解】炭酸ナトリウム:Na2CO3
2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O
※カルメ焼きは、砂糖を入れたこの反応によるもの
【グルコース(ブドウ糖)C6H12O6の燃焼】※完全燃焼
C6H12O6 + 6O2 → 6CO2 + 6H2O
【二酸化ケイ素の還元】※強熱
SiO2 + 2C → Si + 2CO
【酸化銅の還元】
2CuO + C → 2Cu + CO2
※反応の過程で一酸化炭素計測器は反応するのでCOも生成しているが、反応しきってCO2になってしまう。炭素と銅であれば銅のほうがイオンになりにくいなど、さまざまな要因が重なって一酸化炭素のまま出てくるより、二酸化炭素の状態で出てくることが多い。炭素を大量に増やしたり、環境(圧力・酸素濃度・温度)を変えてやればCOの生成も確認できる。一般的には二酸化炭素が出る、ということでよい。
出典・参考
科学技術振興機構|炭素2つの分子を室温で初めて合成 ナノカーボンの起源にも