アルミニウムとは

アルミニウム(Al、英語:aluminum)は、原子番号13、原子量約27、常温で銀白色の固体、空気中では酸化被膜を生成し、地球上に非常に多く存在する物質です。常温常圧で熱伝導・電気伝導性があり、航空機向けの合金などにも使用されます。金属にしては軽く、加工しやすいです。

元素「Al」の詳細

元素の詳細な情報、数値は次の表の通りです。

元素名

(英語)

Al

(aluminum)

原子番号・原子量原子番号13・原子量約27
色・相銀白色固体

融点

沸点

約660℃

2519℃

電気陰性度1.61
イオン化エネルギー第1: 577.5 kJ/mol
第2: 1816.7 kJ/mol
第3: 2744.8 kJ/mol
同位体26Al、27Al
イオンAl3+

 

物理的性質

非磁性の面心立方格子構造、電気抵抗は28.2 nΩ⋅m、展性に富んでおり加工しやすいため地域のホームセンターなどでも入手可能で、工作などにも使用できます。

ジュラルミンの上位互換「超々ジュラルミン(A7075)」は、亜鉛5.5%、マグネシウム2.5%、銅1.6%のアルミニウム合金です。軽量で強固なためさまざまな精密機械や航空機等に使用されます。

アルミニウム(ボーキサイト)は中国やロシアに埋蔵量が多く、カナダやアラブ首長国連邦でも採掘されています。

 

化学的性質

アルミニウムの原料であるボーキサイト(bauxite)は、酸化アルミニウム「Al2O3」を、52~57%含む鉱石のことで、産出する際には赤灰色、白色、黒色などさまざまな色で出てくる場合があります。

ボーキサイトをアルミニウムに製錬する「ホール・エルー法(溶融塩電解)」では、

  1. 電解炉で、氷晶石・フッ化ナトリウムを1000℃に加熱
  2. ボーキサイト・水酸化ナトリウム(250℃の熱溶液)|バイヤー法(酸化鉄・二酸化チタン・二酸化ケイ素等と分離)
  3. 不純物をろ過、白色綿毛状の水酸化アルミニウムを1,050℃で加熱し、酸化アルミニウムを生成
  4. 陰極にアルミニウム、陽極にCO2とCOが生成

という過程で、以下の化学反応式のように製錬が行われます。

Al2O3+2OH+3H2O→2[Al(OH)4]

2Al(OH)3 → Al2O3+ 3H2O

Al2O3 + 3C → 2Al + 3CO

(2Al2O3 + 3C → 4Al + 3CO2

一酸化炭素だけでなく、大量の二酸化炭素が発生します。酸化アルミニウム1tを処理するのに15000kWhの電力が必要です。電気料金で考えると1kWhあたり約31円なため、15000kWhの電気代は465,000円程度だということになります。

アルミ缶をリサイクルする場合は、このホール・エルー法の3%ほどのエネルギーで済むとされ、単純に電気代だけで計算すると、13,950円で済むことになります。(電気代はあくまで参考例|実際にはアンモニアが発生したり、窒化アルミニウムAlNとして一部ロストしたりするなどあるが割愛)

アルミニウムを資源として大切にする理由、アルミ缶やアルミ製品のリサイクルが必須な理由はこれです。ホール・エルー法やバイヤー法では1,000℃に加熱する過程があるため、電気代だけではなく、燃料費や炉の管理修繕費なども発生し、コストはもっとかかります。


粉末状のアルミニウム(150μmの網ふるいを通過する量が50%を超えるもの)は第2類危険物に指定されており、粉塵爆発を起こす危険があります。

2Al + 6H2O → 2Al(OH)3 + 3H2

アルミニウムは燃焼熱が大きく、高温と白色の強い光を発しながら燃焼します。水分を含む状態で燃焼すると水素を発生するため、爆発的に反応する可能性があり、水での消火はできません。


アルミニウム粉末と酸化鉄(III)を混ぜて、マグネシウムリボンで着火する「テルミット反応」も有名で、古くは鉄の溶接に使用された反応です。

Fe2O3 + 2Al → Al2O3 + 2Fe

発生する熱は851.5kJ/molで、これは1000gの水(20℃)が約220℃になるほどのエネルギーです。1000gの水は、約1Lの水で、水蒸気になるとその体積は約1700倍になるとされています。300Lの浴槽6つ分くらいの広さに220度の水蒸気が充満するほどの熱量です。

環境によっては全身を220℃の水蒸気が覆うことになり、吸い込んで肺や喉をやられ、眼球も大やけどして、生命維持に問題が出るほどです。皮膚についてやけどした場合は専門施設に即入院レベルで、部位と面積によっては深刻な状態になります。

 

周期表

Posted by 化学担当